
開催中の企画展
次の展覧会情報
開館30周年記念展「新・空間縁起」
30年前に開館したアンフォルメル中川村美術館は、南信州の山、川、谷を展望する尾根の上にスペクタルに展開する異形の建築として知られています。第二次大戦後フランスに勃興したアンフォルメルの美術に共鳴した実業家で画家、詩人でもあった鈴木崧(すずき・たかし)が、異色の建築家・毛綱毅曠(もづな・きこう)に依頼して建設したものです。以来、異彩を放つ建物とともに、県内でも数少ない現代美術館として中川村の人々が守り続けてきました。
古来の伝説や神話、風水や宇宙に惹かれた毛綱毅曠は、各地の寺社建築に隠された意味を読み解き、著書『神聖空間縁起』で紹介しています。忘れ去られた知恵を建築に吹き込み、21世紀の共生の術としての再生を言明しました。
今回、7人の現代美術家がこの地のこの美術館の場所で発表する意欲的な表現は、バブリーな時代を経て久しい「ポストコロナ」の今日、私たちが生きている空間を再び感じ取る縁(よすが)となるものです。
予測し得ない時代を迎え、今後のパースペクティブとして、今展が新たな「空間縁起」となるよう願う次第です。
*『神聖空間縁起』(文/毛綱毅曠、画/横尾忠則、写真/藤塚光政 1989年 住まいの図書館出版局刊)
【スケジュール】
丸山晋一展 7月27日 (木) −8月21日(月)
〜光ヲアツメル〜 テクニカルな撮影によって、水の粒が光を集めて、幻想の空間へといざなう
アーティストトーク:7月29日(土) 午後1時〜 参加料400円(入館料)
持田敦子展 7月27日 (木) −8月21日(月)
〜境界を開く〜 組み上げた足場材が、異形の建築と絶景の空間に介入し、記憶する身体を揺さぶる
アーティストトーク:7月29日(土) 午後2時〜 参加料400円(入館料)
中谷聡展 8月26日(土)−9月18日(月/祝)
〜内包された時〜 ひたすら作業をくり返す作家の身体が内と外をターンし、石に浸透する存在への深い共感を生む
アーティストトーク:8月26日(土) 午後1時 参加料400円(入館料)
ワークショップ:土粘土で遊ぼう 8月27日(日)午後1時〜3時 小学生16人募集 参加料300円申し込みが必要
北澤一伯展 9月28日(木)−10月22日(日)
〜書物と空間〜 知と精神を、鈴木崧が残した書物を介在させて、美術の物質として捉えなおす概念彫刻
アーティストトーク:10月8日(日) 午後1時30分〜 参加料400円(入館料)
ワークショップ:石橋をたたいて渡る 10月8日(日) 午前9時〜11時 小学生以上15人募集 参加料300円 申し込みが必要
塚田裕展 11月9日(木)−11月30日(木)
〜自然と日常〜 この村の地形と人々の長い営みから生まれた棚田の空間が、膨大な稲わらの彫刻として美術館の丘で転生する
アーティストトーク:11月11日(土) 午後1時〜 参加料400円(入館料)
眞板雅文展 11月9日(木)−11月30日(木)
〜水の旅〜 身近な素材で様々な表現を展開した眞板の作品のうち、水をめぐる作品が伊那谷を眺望する空間で展示
ギャラリートーク:11月11日(土) 午後2時〜 参加料400円(入館料)
宮坂了作パフォーマンス:10月22日(日)
午後1時30分 観覧無料
〜水のふるまい〜 人々の記憶を伝えてきた坂戸橋(重要文化財/中川村)から天竜川に水を注ぐ